CDA理事長のつれづれ

金沢(:加賀百万石)の和菓子に思うこと

西村 知弘

2015年は、金沢に北陸新幹線が春を運んで来て、同時にNHK朝の連続テレビ小説で能登が話題になり、そんな最中に5月にはCCDOナイトトーク委員会で、金沢の伝統文化に触れるツアーがありました。8月には自身がホスト役を務めて、北は札幌から南は高知の元高校教師から現役教師の30名の金沢〜能登のツアー。9月には小学校の同窓会が1泊になり、片山津温泉で開催されました。同じ9月には高校創立90周年記念同窓会美術展が金沢21世紀美術館にて開催予定。10月末には、金沢美大同窓会代議員会が開催予定です。 ますます金沢の文豪室生犀星の「故郷は遠くにありて思うものそして悲しくうたうもの」この件が心に染みることしきりです。
毎回のように、帰省する際に手土産として何を持って出向こうか悩みます。金沢へはなかなかお菓子を持っては行けません。金沢のお菓子には勝てません。 金沢の和菓子について、思いを述べてみたいと思います。
親に連れられて、時には名主の立場でお世話になった方や親戚縁者へ、冠婚葬祭のご挨拶には必ず和菓子を携えて伺います。今では見られなくなってきつつありますが、結婚式や上棟式などの祝い事の折には、玄関先に壽と書かれた漆塗りのセイロ(昔は本当に和菓子を詰められていた箱)が幾つも積み上げられていました。お届けした重箱にはお返しとして、懐紙に包まれて和菓子をいただきました。
またお礼状が日を置いて届いたりして、現代にはない人と人との暖かくゆったりと時間が流れるコミュニケーションを感じます。

金沢和菓子の歴史背景

金沢は様々な和菓子の多いことで、京都や島根県の松江と並んで知られています。いつしか庶民の日常生活の節目にアクセントを与え、四季折々の場面や人生の節目になくてはならないものとなっています。古くから栄えた茶の湯の文化が発達した土地柄ではないでしょうか。
金沢は、藩祖前田利家から始まる歴代の藩主が茶の湯に大きな関心を持っていました。
前田利家や二代藩主の利長は千利休の直弟子であり、三代藩主の年常も江戸初期の大茶名人である小堀遠州や金森宗和、仙叟千宗室に学んでいて、仙叟千宗室を茶道茶具奉行とし、藩を挙げて茶の湯を奨励していたほどです。このため、茶の湯に欠かせない菓子の需要が増え、技術が向上していきました。諸説がありますが、1600年代の前半には五色生菓子落雁は次第に武家社会や一般庶民へと広まりました。
もう一方、和菓子が浸透していった要因は、真宗王国と言われる信仰心の厚い土地柄あります。宗教行事とともに、庶民には欠かせないものとなっていきました。
門徒と寺院の間で行われる行事には必ずと言っていいほど和菓子は必需品であり、参詣日にはお寺は参詣客のために茶菓子を用意します。
茶の湯は和菓子を洗練された芸術として質を高めていき、仏事による必要性は広く大衆的な和菓子の普及を促していったのです。
このため、金沢では、季節や人生の節目に和菓子を用います。彼岸のおはぎや、お祝いの際の紅白饅頭はもちろん、正月の福梅辻占、桃の節句の金花糖、夏の氷室饅頭、7月の土用に食べるささげ餅など、そして安産祈願のころころ団子、赤ちゃんの誕生を祝う杵巻き茶巾餅、婚礼の際の五色生菓子、などの縁起菓子があります。

落雁(打ち菓子)

干菓子の中でも最もポピュラーなのが「落雁」。米の粉を煎って砂糖と混ぜ、型で押し固められたもの。1625年(寛永2年)尾張町で創業した森下屋八左衛門が利常の創意により、小堀遠州の書いた「長生殿」という文字を墨型の落雁にして創製したことがよく知られています。

お祝い菓子

婚礼の時などに配られる「寿(ことぶき)せんべい」、子どもの出産の1か月ほど前の戌の日を選んで里の実家から嫁ぎ先などに配られる「ころころ餅」。またお正月には欠かせない鏡餅も、金沢では紅白。上が赤で下が白になるように重ねる。

上生菓子

多くの和菓子店がそれぞれに工夫を施した上生菓子をつくっており、略して「上生」とも呼ばれている。季節に応じて形を変えて、食べるのがもったいなく感じるほどの芸術品に仕立て上げ、味はもちろん、その形の美しさも和菓子職人の腕の見せ所となっている。

氷室まんじゅう

毎年7月1日、金沢では「氷室まんじゅう」と呼ばれるまんじゅうを食べる習慣がある。
この由来は江戸時代までさかのぼって、「氷室」という氷を貯蔵した室が金沢にあり、毎年旧暦の6月1日に取り出して将軍に献上していた。この氷が無事に江戸まで届くよう祈願した時に饅頭を供えていた。5代加賀藩主前田綱紀の時代、宮中での氷室の節句に倉谷山の雪を将軍家に献上していたことにちなんで、片町の道願屋彦兵衛という菓子職人があん入りのまんじゅうを考案したといわれる。それが今でも続いている。
氷室開きは昭和30年頃に廃れたものの氷室まんじゅうを食べる習慣はのこり、昭和61年に金沢の奥座敷と呼ばれる湯涌温泉に氷室小屋が再建され、氷室開きが復活し夏を告げるイベントとして再び定着した。

ささげ餅

土用の入りに餅をついて食べる「土用餅」の慣わしがあり、ささげ豆を餅の周りに餅が見えなくなるくらいつけたもので、ほんのりとした塩味が印象的。

五色生菓子

由来は、1600年(慶長5年)2代将軍徳川秀忠の娘・珠姫(のちの天徳院)が3代加賀藩主前田利常に輿入れ時に創作されたのが最初とされる。
5種の生菓子は「日月山海里(にちげつさんかいり)」、「日」は赤色の粉をまぶし太陽をかたどったもの。「月」が真っ白い饅頭で、雁を表した黒胡麻をあしらうことも。「山」は円形の蒸ししょうかんで水田を表現。「海」はあん入りの菱型の餅、「里」はこしあんを餅でくるみ、さらに黄色く蒸したもち米をまぶしたという説。
昔はせいろが婚礼時の家の前に置かれ、式典後に親戚や近隣住民に配られたていたという。

福梅

梅の形をした最中で、白と薄紅の2色があり、 中には日持ちをさせるために水飴で練りこん だ硬めのつぶあんが入っている。
由来は、前田家の家紋「剣梅鉢」をモチーフ にした説、前田家の先祖とされる菅原道真を 祭った北野天満宮の「寒紅梅」をヒントにし た説などがある。

辻占

砂糖と餅粉を混ぜて茶巾包みをしたお菓子で、中には小さな「おみくじ」が入っている。江戸時代には「辻占売り」という職業があったそうですね。私の小さい頃も、これがささやかな楽しみだったことが思い出されます。

金花糖

金沢の雛祭りに欠かせない和菓子。これはサザエ、ハマグリ、タケノコ、ナス、桃、キュウリ、ブドウなど1年の海山の幸を模した砂糖菓子で、お雛様に添えられる。江戸時代南蛮菓子として長崎に伝わったとされる金平糖の影響を受けている。ちなみに金沢では、雛祭りは一か月遅れの4月3日に祝うこともある。 販売は、1月初旬から5月頃までに限られる。

最後にどうしても話をしたいことがあります。 それは「蓮根羹」です。現物は見たことも食したこともありません。幻の和菓子です。
素材として金沢の北に位置する「小坂」産のレンコン(加賀れんこん:加賀野菜)の新物のみを用いているため、夏の限られた一時期にしか作られていません。そして日持ちが極めて短く、限られたお客様の注文のみで調製されていると聞いています。暑さの厳しいときに、ひと時の涼を楽しみ、その清新ある風味は他に類を見ないと謳われているそうです。金沢の老舗「森八」だけでしか作られていないと伺っています。

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0572-28-3100
9/12〜12/6

超絶技巧! 明治工芸の粋

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アール・ヌーヴォーの装飾磁器

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三重県立美術館
0592-27-2100
2/9〜4/10 舟越桂展
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美術館等 [ 新潟県 ]
新潟県立近代美術館
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美術館等 [ 長野県 ]
長野県信濃美術館
026-232-0052
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  11/13〜12/20 描かれた女たち─女性像にみるフォルム/現実/夢
北澤美術館
0266-58-6000
4/1〜11/29 開館30周年記念特別展 ルネ・ラリック 展
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