CDA理事長のつれづれ

毛鉤のオリジナルデザイン

滝本成人

 日頃は人に見られるデザインにかかわっておりますが、趣味のフライフィッシングでは魚に見られるデザイン、つまり「毛鉤づくり」を20年近く続けています。年間に数十個から数百個の毛鉤を作っているため、今までに数千個の毛鉤を作りそのほとんどを消耗したことになります。毛鉤づくりはテキスト通りに作るコピーフライから始まり、次第にオリジナルフライに発展させました。また一方では毛鉤の原型となる水棲昆虫の標本作りと、釣った魚の胃の中をストマップポンプで取り出した捕食物の標本作りを行っております。釣った魚はリリースするので、昆虫の標本だけがやたらと増え続け、魚が好きなのか?昆虫が好きなのか?よく判らない状態になっております。以下、日本の河川の代表的な水棲昆虫であるカゲロウ・トビケラ・カワゲラ・ユスリカの毛鉤デザインを紹介いたします。

1.カゲロウ類
  「カゲロウは一日の命」と歌われますが、実際には数日間は生息します。幼虫から亜成虫に羽化し、次に成虫に脱皮します。幼虫期は砂の中、石の裏など外敵から身を守るように生息しています。しかし、羽化は水面などで行うため無防備になり、この時が最も魚に捕食されるタイミングといえます。したがって、毛鉤は幼虫が水面に上がった姿と、亜成虫で水面に浮かんだ姿のイミテーションを作ることが最も有効であると考えられます。写真1はモンカゲロウの幼虫が水面で羽化する姿です。幼虫のテールとエラはダチョウの羽でつくり、水面下でゆらゆら揺れる姿を表現しました。小さな虫の目は無視してよい大きさだと思いますが、目を付けることは著者のこだわりです。写真2は同様の亜成虫です。羽の透明感を荷造り用のビニール紐で表現しました。モンカゲロウの幼虫は砂地を好みます。この毛鉤は阿寒川用に制作したもので、現地の虫のサイズに適合しています。


写真1モンカゲロウの水面羽化

写真2モンカゲロウの亜成虫

2.トビケラ類
 日本の渓流で最も多く生息する水棲昆虫です。幼虫は石の隙間に糸で小石などを固めた巣で生息します。したがってこの時期に捕食されることはきわめて少ないと考えられます。巣の中でさなぎになり羽化と同時に水面に上がる種類が多く、日没直後に一斉に羽化し集団遡上します。写真3は大型のヒゲナガカワトビケラの成虫です。水面を移動する行動を模して、小型のフックに浮力のある中空繊維でボディを作りました。この毛鉤は忍野川用に制作したものです。写真4はウルマーシマトビケラの成虫です。全国の河川に生息しています。触角を作ることで虫らしく見えますが、これも釣果には全く関係ありません。


写真3ヒゲナガカワトビケラ成虫

写真4ウルマーシマトビケラ成虫

3.カワゲラ類
 カワゲラの幼虫は歩くことが得意で、羽化は石の上などに這い上がってから行います。したがって成虫が捕食され機会はほとんどないため、幼虫のイミテーションを制作します。写真5はオオヤマカワゲラの幼虫です。鳥の羽根のファイバーを片結びすることで関節を表現しています。


写真5オオヤマカワゲラ幼虫

写真6ユスリカ水面羽化

4.ユスリカ類
 ユスリカとは双翅目でいわゆる蚊の仲間です。幼虫は体が小さく泳ぎも苦手なため、水面羽化では体の周りに気泡をつけ水面に上がります。写真6は気泡が水中で輝く姿を表現しています。水棲昆虫は河川の健康度のバロメータになると言われます。先に述べたカゲロウ・トビケラ・カワゲラが清流の代表であるのに対し、このユスリカは汚染のある河川にも強い水棲昆虫です。著者の最もよく使う毛鉤あることも複雑な思いです。

5.終わりに
 私の好きなカゲロウの亜成虫を見ていると、その完璧なプロポーションに感心します。種の違いにより色や大きさの違いはあっても、プロポーションは皆同じ比率でできています。太古の昔から受け継がれた自然界の原理原則をそこに見ている気がします。本物と全く同じ毛鉤を作ることは不可能であり意味がありません。本物のどこを省略し、どこを強調してデザインするかが毛鉤制作の魅力です。また最近では自然界に絶対に存在しない架空の昆虫の毛鉤も制作しています。オリジナルデザインを通して魚と知恵比べをすることがフライフィッシングの魅力です。

 

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