CDA理事長のつれづれ

雨宮 史郎(勇)

大学でインテリアデザインを教えている。ところが、照明器具の作品を発表し続けているうちに、照明器具の先生として認識されることが多くなった。確かに照明器具の実習授業を持っているが、23年前まではマンションのモデルルームやショップのデザインが中心で、照明器具など全くやっていなかったのであるから、ずいぶん変わったのかもしれない。しかし、誤解されたくないので表明するが、インテリアの設計教育も設計業務もまだ現役だと思っている。インテリアデザイナーの立場は失っていないと思っている。そんな気分の上で、話を続けたい。



照明器具のデザインは楽しい。何事も続ければ全て良さを発見するのだろうが、作品に電気を通して点灯すると、誤解を覚悟で言えば、どんな照明器具でも美しく点灯するものである。命が吹き込まれるように作品は生き生きと誕生する。そのたびに私は感動してきた。照明器具のデザインはやはり楽しい。



照明器具デザインを行っているというより、プロダクトデザインを行っていると最近考えている。扱っている材料のほとんどがポリプロピレン(PP)であるからである。PPを扱うデザイナーだと言ってもよいくらいである。このPPを扱うことでプロダクトデザイナーに近づいたようにも思う。



ポリプロピレンは不思議な材料である。大変に軽い。レーザー加工機で加工すると、粉塵がたくさん出るが、その粉塵の付いた布を洗うと布から離れた粉塵は、バケツの中で全て水に浮き上がってくる。浮き上がった粉塵は、それに息を吹きかけるとなんと全て舞い上がってしまうのである。全く水に溶けない。水を染み込ませもしない。そして、接着剤が効かないのだ。セロテープなど貼りつかず、すぐに剥がれてしまう。接着に関して大変厄介な材料なのである。

だから、モノを作ったら形の工夫で接続しなければいけない。接続は接着剤以外に、釘やネジ、ボルト、ボタン、紐、糸での縫い、そしてジッパーやベルクロ、溶接などもあげられる。だから、接着剤以外の全てをPPに試してみた。そして得られた接続法がそのまま照明器具の接続法、組立に使われている。そしてこのPPに使われた接続法はそのまま合板や段ボール、アクリル板や布地、皮、紙などに応用できる。接着剤は便利な接続法であるが、溶接同様、解体の難しい接続法である。


組立てられれば、解体できる。だから、部材でストックや運送ができる。ユーザーが作ることも可能になる。もしかすると、安価に提供できるかもしれない。作って、解体して、時に別の形に作り変えることもできる。作る楽しさも得られるかもしれない。レゴのように遊んで作って、レゴとは異なりそのまま生活用品として使えるとしたら、人は自分で楽しく道具を作れるのかもしれない。そんなものを私は作っていたのかもと最近気が付いたのである。


今、合板で棚を作っている。接続は紐とダボである。その方法で作った棚やクローゼットを10年以上使っている。壊れない。とても安く作ったそれらは、大変に丈夫である。1昨年は、段ボールをペットボトルで接続して大きなツリーを作った。ご覧になった人もいると思うが、この接続法で学生たちと大きな構造物を作っている。これらは照明器具ではない。建築に近い構造物である。また、試作の段階だが、マネキンや靴など有機的な形をPPの2次元シートで作っている。これら全て解体できるものである。解体できるから、組立てて、形や構造を学ぶ教育材料として便利だが、使えることが一番重要な要素だと考えている。/p>


デザインとは、使えるものを作るということである。基本的なデザイン活動というものもあろうが、最後は、我々の生活につながるものを作ることが我々デザイナーの使命だと思う。となれば、訓練ではあっても生活用品として目指した学生作品であれば、良い作品は社会に出していくべきである。良くなければ社会は適正な評価を下してくれるものである。


私の大学の横に「星が丘テラス」というショッピングゾーンがある。学生たちの作ったものを売る店や、作ったものを展示し、ディスプレイできる場になっている。大変にありがたい。これに最近、動物園や植物園が加わり、学生たちはいつの間にか社会の洗礼を受ける状況になってきた。教員から高評価を得ても作られたものは、これまでその多くが死蔵されてきた。大変に残念である。評価が良ければ社会に出して、社会の評価を得ることがより重要であろう。

今まで大学はこの社会の評価に鈍感であったように思う。鈍感であろうとしていたともいえる。高評価はそのまま金銭という価値につながるのが社会である。お金につながるのを恐れていたようにも思う。金銭が絡むといかがわしい。そんな言葉も聞こえていた。しかし、あえて言えば、デザイン作業も大学の教育の結果も、如何に我々の生活が向上するかにつながっているのではないだろうか。

組立てて、ちゃんと使えて、使ったら解体してストックする。そんな学生が関わった循環が10年かけて少しずつだができるようになった。定年まであと4年。良い形で続けていけたらと思っている。

 

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CDA関連・会員参加
CDA会員参加展覧会 11/21〜11/23 The Chairs ver.13
CDA会員企画会 11/11〜11/16 谷口愛太郎の絵画と造形展
CDA法人会員
セントラル・
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052-951-8998
10/28〜11/2 トライデントOB展
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  11/11〜11/16 あべ先生作品展
  11/18〜11/23 春艸会秋季展
  11/25〜11/30 橋田誠一作品展
  12/2〜12/7 ハーネミューレ展
  12/16〜12/21 セントラル中田浩会長を偲ぶ展覧会(仮)
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10/28〜12/14 <特別展>遥かなる悠久の大地 平山郁夫展 前期・後期あり
  1/17〜3/15 <名都美術館コレクション>太陽と月のしらべ 〜輝きに導かれ〜
杉本美術館
0569-88-5171
CDA会員特典有
9/20〜12/28 杉本健吉 人生の師 吉川 英治 展
愛知県美術館
971-5511
10/9〜12/7 デュフィ展
  2/3〜4/5 ロイヤル・アカデミー展
名古屋市美術館
212-0001
11/8〜12/23 ゴー・ビトゥイーンズ: こどもを通して見る世界 展
  1/10〜3/22 だまし絵II
名古屋市博物館
853-2655
10/25〜11/30 三英傑と名古屋
  12/13〜2/8 感じる縄文時代
名古屋ボストン美術館
684-0101
9/20〜11/30 美術する身体 ―ピカソ、マティス、ウォーホル
  1/2〜5/10 ボストン美術館 華麗なるジャポニスム 印象派を魅了した日本の美
古川美術館
763-1991
10/18〜12/14 特別展「小山硬と九代目玉屋庄兵衛」
爲三郎記念館 特別展「つむぐけしき よむこころ 米山和子・祖父江加代子」
  1/2〜3/1 企画展 古川爲三郎 生誕125年記念「実業家の眼 愛蔵の美」
徳川美術館
935-6262
10/4〜11/9 秋季特別展 復古やまと絵 新たなる王朝美の世界―訥言・一宦E為恭・清―
  11/15〜12/14 企画展示 装いの美−大名のおしゃれ−
  11/15〜11/24 特別公開 国宝 源氏物語絵巻 竹河二・東屋二
  1/4〜2/1 企画展示 年の初めのためしとて
岡崎市美術博物館
0564-28-5000
10/4〜11/24 企画展 重要文化財、重要美術品で見る江戸の華 浮世絵の美 平木コレクション
  12/2〜1/18 新収蔵品展
豊田市美術館
0565-34-6610
9/16〜
2015/10/9
改修工事のため休館
豊田市民芸館
0565-45-4039
9/9〜11/30 特別展 柳宗理の見てきたもの
  12/9〜3/1 企画展 筒描
刈谷市美術館
0566-23-1636
9/20〜11/9 藤井千秋展
  11/15〜12/14 常設展第2期 没後10年 杉本健吉・筧忠治展
  1/6〜2/22 常設展第3期 旅の記憶、異国の情景
メナード美術館
0568-75-5787
10/4〜12/23 メナード美術館 コレクション名作展2014 ー語り継ぐ美ー
  1/2〜3/1 新春展 音からうまれる色ワールドーオトいろー
国際デザインセンター
4Fデザインギャラリー
4Fデザインミュージアム
265-2106
10/29〜11/16 イケヤン★エキシビションリレーvol.29 篠崎裕美子展
  11/6〜11/9 日本の衣装にみる技とデザイン
  11/13〜11/15 名古屋学芸大学デザイン学科 第11回コンタクト展 contact exhibition
  11/19〜11/24 ワールド・デザイン・キャピタル 台北 2016 ? 名古屋特別展
  11/21〜11/23 The Chairs Ver.13 おとなチェアーズ いろんなオトナの、いろんな椅子
  12/6〜12/7 デジタルコンテンツ博覧会NAGOYA
  12/12〜12/14 たんぽぽの家 Good Job!展2014[愛知展] 障害のある人のアート・デザインを通した新しい仕事の創出
松坂屋美術館
264−3611
10/18〜11/24 氏家浮世絵コレクション設立40周年記念 肉筆浮世絵の美
  11/29〜12/7 再興第99回 院展
  12/13〜1/18 再篠山紀信展 写真力 THE PEOPLE by KISHIN
  1/24〜2/1 第59回 現代書道二十人展
  2/7〜3/8 モナコ ロイヤルウェディング展
碧南市
藤井達吉現代美術館

0566-48-6602
11/1〜1/12 もうひとつの『絵の話』 伊藤廉展
  1/23〜3/8 没後130年 山中信天翁と幕末維新展
高浜市やきものの里
かわら美術館

0566-52-3366
9/27〜11/9 ブラティスラヴァ世界絵本原画展 −絵本をめぐる世界の旅
  11/15〜1/11 土の物語−ヒメナ&スティーブン
桑山美術館
 052-763-5188
9/6〜12/7 所蔵茶道具展 侘び茶とその展開
大一美術館
 413-6777
10/28〜4/19 没後110年 エミール・ガレ回顧展
美術館等 [ 岐阜県 ]
岐阜県美術館
058-271-1313
10/31〜12/14 今をいろどる 〜現代日本画の世界
  2/3〜5/17 パラダイムシフト ―タグチ ヒロシ・アートコレクション現代美術展
岐阜県現代陶芸美術館
0572-28-3100
11/8〜3/15 みて・きいて・かんじる陶芸
美術館等 [ 三重県 ]
三重県立美術館
0592-27-2100
9/20〜11/24 世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」登録10周年記念 カミノ/クマノ ―聖なる場所へ 
  12/13〜2/15 岡田文化財団設立35周年記念 コレクション展 
美術館等 [ 新潟県 ]
新潟県立近代美術館
0258-28-4111
9/12〜11/3 中越地震復興10年 画業40周年記念 黒井健 絵本原画の世界展
  2/3〜4/5 コレクション・ストーリーズー 11年の物語
美術館等 [ 長野県 ]
長野県信濃美術館
026-232-0052
10/4〜12/7 特別展「手塚治虫×石ノ森章太郎 マンガのちから」
  12/13〜1/12 生誕百年 高橋節郎展
北澤美術館
0266-58-6000
9/26〜1/12 岩波昭彦 日本画展
  11/1〜3/29 開館30周年記念特別展 アール・ヌーヴォーのガラス工芸、ドーム兄弟