カルトナージュの楽しみ 丸井 とも子 今回の理事のつれづれはカルトナージュについてご紹介をさせて頂きます。 カルトナージュとはカルトンと呼ばれる厚さ1mm〜3mmの厚紙を色々な形状に裁断し、組立てて表面に綺麗な紙や布を貼り箱などを作る、ヨーロッパ各地に伝わる手工芸のことを言います。日本でも表装技法の中のひとつとして、古代中国から伝わった帙や函作りがありますが、今回取り上げるのはいわゆるヨーロッパ的なカルトナージュです。 カルトナージュはそれなりに時間と手間はかかりますが、土台となる厚紙と表面に貼る布地のほか、大きさの異なる房やカラフルなリボンなどの装飾小物を用意すれば、思いのほか簡単に美しい箱やインテリアグッズが作れるシンプルながら創作的な手工芸です。 ふとしたことからカルトナージュに出合い、数年前から少しづつ作り始めた様々な形状のカルトナージュをご紹介します。平面の厚紙(カルトン)を多様な形に切ることで、自由な立体が出来ていく過程はなかなか面白く、作る者を夢中にさせてくれます。当初は基本的な箱を主に作成していましたが、次第により新しい形状への好奇心が出てきて、小引出し、時計、装飾ミラーなど、新しいものへのチャレンジに広がって来ています。 写真:初期の作品
私の制作過程をご説明しますと、まずイメージが決まったらMacで図面を作成し、ミリ単位まで正確な寸法を決めます。その図面に従って主に2mm厚の厚紙(カルトン)をカッターで切って行きます。この作業にはかなり手先の力を要しますので、特に大きいサイズのものや曲線の形状のものは結構なハード作業となります。裁断した厚紙は、このあと水貼りテープとボンドで組立てて行きますが、この段階で使用する布地や小物を用意します。 写真:材料と生地
組立てたベースの箱が完成すると表面に布地を貼っていきますが、イメージに合わせて布の色や柄を選択し、またデザインによって貼る順序を考えたりすることも、複雑な形になればなるほどなかなか楽しめる作業です。 写真:最近の作品
次の写真は色々なデザインの眼鏡ケース。最近では日常2〜3個の眼鏡を使用する人が多く、通常の眼鏡ケースでは十分に用を足さないので、2個の眼鏡を収納するケースを作ってみました。上下2段式のもの、縦型のもの、キュートで可愛いデザインのものなど。 写真:眼鏡ケース
壁掛ミラーはカルトナージュの華やかさと艶やかさを生かし、他に無いミラーをと考えてデザインしました。曲線のラインは1つ1つカッターで切っていきます。布地の下全体にはキルト芯を貼り柔らかなボリューム感を表現し、さらに手作りの薔薇や造花、リボンや房などで装飾しました。前面の下部にはちょっとしたアクセサリーやキーなどが置けるトレーや、小引出しを取り付けて用途の広がりを加えました。 写真:壁掛ミラー
その他インテリアグッズの1つとして定番となるのが時計です。ムーブメントと針は市販のものが色々出ているので、インテリア向けのカジュアルな布を組み合わせて明るいイメージの時計にしました。 写真:壁掛時計
箱をベースにしながらも、そこからさらに制作可能な様々なデザインのカルトナージュとして広げていくことが出来れば、今後の作品づくりも楽しくなるだろうと考えています。 この9月11日より初めてのカルトナージュ2人展を開催することになりました。 |
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