CDA理事長のつれづれ

金沢のまちづくり

私は石川県金沢が生まれ育った故郷です。
間もなく北陸新幹線が長野から金沢までつながるようになります。
作家室生犀星の文章にもあるように、「故郷は遠くにありて思うものなり」は、金沢人ならずとも、故郷を離れている身にとっては、一度は口ずさんだ言葉ではないでしょうか。
料理や旅行番組では金沢を採り上げることは定番になっています。多くの人たちが一度は訪れたい、また行ってみたいと言われます。
そんな金沢の魅力は何なのかを考えていると、一冊の書籍に出会いました。それは、「文化でまちづくり〜金沢の気骨 山出保著 北國新聞社発行」です。
著者山出保氏は、2010年まで20年間金沢市長を務められました。金沢市の生まれで、1954年に金沢市役所入庁、助役から市長に初当選しています。
昨今地域おこし、町おこし、中央から地方の時代と謳われていますが、多くの自治体でハコモノを造ったり、何か金太郎飴の如く、地域の色合いが失われて、やがては経済の低迷期と相まって、不良債権と化しています。
金沢はなぜそうならなかったのか、そのヒントがあるように思えます。

金沢のブランドは歴史と文化

加賀藩の藩政が学術文化を尊び、争いを避けてきたことに由来している。城下町とは、武家を中心に商人や職人が集まって形成されたまちのことで、世界で300年、400年にわたって戦争のなかったまちはチューリッヒと金沢だけ、つまり東洋のチューリッヒと言われるようです。
戦禍に遭わなかったことで残った伝統環境と伝統文化は、まさに金沢の個性です。焼けなかったことが古い民家が入り組んだ狭い道路に軒を並べていて、やがて到来してくる車社会に大変な足かせとなっていたのも事実です。でも金沢にしかない逆境を個性と捉えて戦後の復興を目指した。このことが幸いだったのでしょう。
横軸に多様性を、縦軸に歴史性をからめて、魅力的な都市の形を作り上げてきたのが金沢。
公家のまち京都ではない、武士と町人のまちが金沢だからです。
では文化都市金沢はどうしてできたか。

「文化で飯が食えるかい」に対して、「経済と文化は不即不離」と返す。「文化は贅沢品、税を投入すべきでない」に対して、「文化とは人の生き方・暮らし方そのもの。文化がなければ社会とは言えない。都市とは言えない。」と山出保市長は切り替えしています。
フランスでは、文化が国家の最優先事項、フランスの文化省予算は1%を占めている。日本の文部科学省0.1%に過ぎないようです。
単なる観光都市と言われたくない。観光とは、それぞれの地域の優れたものや特色を、誇りを持って、心を込めて、多くの来訪者に観てもらい、また来訪客も心を込めて観ることによって人的交流を図る文化活動である。

何もつくらない贅沢

設計が東京のコンサルタントの理論だけで進められてはかなわない。地元の意向を反映させる仕組みが必要。
景観とは、16世紀末にオランダで生まれたLandschap「風景」に由来するといわれている。17世紀にイギリスにもたらされてLandschapという言葉になった。その後、「美しい眺め」「美しい土地」という意味が加わった。したがって「都市のため」にある景観は「みんなのもの」です。
「日本人は美術館を建てて美を愛でることは知っていても、道端の美を知らない。」
世界遺産に登録された途端に観光地になってしまい、駐車場に取り囲まれてしまう。無粋で興醒めします。心を癒す自然に包まれた静かな湯の里に、心無い商業資本が進出して、風景が損なわれ衰退した例がいくつもある。
全国の庭園の中には周囲に高層建築物が建ったばかりに景観が損なわれ、名勝が泣いている例がある。醜いと感じられる町すべてに共通するもの、それは自然への無関心、歴史への無関心、そして住民の住み心地とか安全に対する配慮のなさにある。
まちを元気にするには、一つの施策だけでは決定打にならない。施策の多重化と総合化と一体化が絶対に必要。郊外における大型店の出店抑制。まちなかでのミニ土地区画整備事業。まちなかで、多様な年代層のニーズに応える住宅や食料品店などを提供。町家の再生と利活用。コミュニティの維持向上。
「世界都市」とは、小さくても世界に向けて自らの独自性をアピールできるまちのこと。
香林坊や片町という繁華街からすぐ近くに県庁舎と市庁舎が向き合って在ります。県政のより発展飛躍を考えて県庁舎の移転することになりました。金沢市の周辺都市を含めて、都心部の賑わいを創出する。新県庁舎は環日本海時代に対応した金沢駅西で副都心の核とする。県庁跡地では(1)金沢および対象地区における歴史性を踏まえる。(2)金沢の国際文化産業都市の新しい核づくりに貢献する。(3)「にぎわい」の創出を図る。を基本に据えて計画を練っていた。同じく金沢大学付属小学校も郊外に移転することになりました。金沢市役所の周りに広大な空き地が出来ました。
金沢市役所から眺めると、金沢城が正面に対している。美しい石垣は圧巻です。金沢城の復元工事が進んでいるが、その前面に県庁跡地利用として、大きなビルやマンションそれにアンテナが立つと将来に禍根を残す。
そこに一躍観光スポットを浴びることになった「21世紀美術館」「しいのき迎賓館」「金沢城公園」の誕生です。

21世紀美術館

設計にあたっては、往々にして外側に箱(展示室)を設け、その内側に広場をつくるものがですが、外周に出入りや休憩、交流の空間を置き、内側に箱を集めるもので、公園のような美術館、円形でガラスの外壁を使ったアートサークル。これが逆転の発想として際立っています。敷地をかこんでいた高木を取り払い、周囲との境界をなくした景観は開放的で、新鮮で革命的にさえ映ります。

2004年10月に開館して、7年度の2011年8月には累計で1000万人に達した。60%は女性、10代から30代で全体の60%をしめ、若い人が足を運んでいる。石川県外からの入館者は60%、そのうち外国人が5%。建築界のノーベル賞と言われるプリッカー賞受賞。(2010年)こうして美術と建築の両面から金沢を世界にアピールしている。

しいのき迎賓館

県庁舎は大正の文化を象徴した名建築であり、文化財として評価されている。最終的に旧県庁舎本館だけを保存し、残りは撤去して緑地にする。
世間では、とかく空き地が出ると、にぎわいの創出に役立つとして、ホテルやマンションの類の建設が取りざたされる。その土地に何がふさわしいかという議論が脇に追いやられがちになる。
ヨーロッパの都市には緑と歴史性に富み、美しくて品格のある大きな空間が存在していではないか。

金沢駅

2005年に金沢駅東口にそびえるガラスのドームと鼓の形をした門が完成した。2011年、アメリカの旅行雑誌「トラベル・レジャー」で、世界で最も美しい駅の一つに選ばれた。
金沢は雨の多い町、駅の広場に大屋根をかけてお客様にそっと傘をさし出す「おもてなしの心・もてなしドーム」。金太郎飴のように個性のない日本の駅風景に一石投じた。

金沢の産業のあり方

コンビナート誘致といった外来型の開発によらない。地域を主な市場としている。付加価値が現地に帰属していく「地域内産業連関」があること。経済だけでなく、文化と教育、医療と福祉などの充実と振興。
金沢では、全事業所の99.7%が中小企業。一つの企業とその下請企業を中心に経済が回る「企業城下町」では、企業の浮き沈みが、そのまま都市の経営を左右しかねません。「多様性が可能性を生む」、その「可能性」に「持続性」を加えることで活気が生まれてくる。
繊維機関から派生した工作機械メーカー。食品機械製造の分野では、ボトリングシステムの企業、回転寿司コンベアの企業、豆腐機械の企業、垂直搬送機製造の企業、美術印刷の企業などの隙間産業が存在するようになり、さらにコンテツ産業やクラフト産業が芽吹き出している。

他に、職人の大学、倉庫が芸術村、金沢で音楽が育つ、まちなかの歴史文化施設、伝統的建造物群保存地区というまち、景観条例のほか一連の条例制定、旧町名復活、「クラフト金沢」ユネスコ創造都市認定など、経緯を説明したいところです。
このように他に事例を紹介すると限りがありませんが、全国各地での取り組んでいる「地方の自立」に何らかの参考になればという思いがあります。


(著 中部デザイン協会理事 西村 知弘)

第31回会員プレゼンテーション開催のお知らせ

新年明けましておめでとうございます。本年も協会活動に対するご支援宜しくお願い申し上げます。
近年、中部デザイン協会の会員から3名の方が博士(工学)を取得されました。奇しくも3人ともに「椅子」にかかわる研究を行っています。毎年恒例の「会員プレゼンテーション」、この機会に、3人のレクチャーとパネルディスカッションを企画しました。
「椅子」にまつわる楽しい話、奥深い知識、技術の最先端など興味深い話題が一杯、この際疑問に思うことも聞いてみましょう。
会員はもとより、デザインを学ぶ若い方々、学生の皆さんのご参加をお待ちしています。
なお、参加費は1000円(学生500円)です。

1、開催日時:平成26年2月15日 13:30〜17:30
2、会場:国際デザインセンター 6階セミナールーム 3
3、テーマ:「椅子」3つの視点から 〜デザイン、歴史、技術開発〜
4、講演会プログラム  開場13:00〜  開会13:20

詳細はこちら:http://www.cda.ne.jp/blog/index_item449.html

○ 中部デザイン協会では、会員の皆さんの作品展・展示会など、商用・個人を問わず、「会員からのお知らせ」に掲載します。ぜひご活用ください。
右記アドレス宛てにお送りください。

美術館・ギャラリー情報の内容は保障できかねますので、お出かけの際は、展示期間・内容を各施設にご確認ください。

CDA関連・会員参加
CDA会員参加展覧会 2/11〜2/15 第7回アートクラブ34 風景スケッチ展
CDA法人会員
セントラル・
アートギャラリー
052-951-8998
1/28〜2/2 OAC新春福はウチワ展
  2/4〜2/9 大久保義男とゼミ生展
  2/11〜2/16 THE POSTER WORKS2014
  2/18〜2/23 河村ゼミ展
  2/15〜3/2 中部新制作会員展
  3/4〜3/9 大同大学卒業制作展
大同大学 情報デザイン学科 エリアデザイン専攻
渡部ゼミ 高木ゼミ 卒業研究発表会選抜展
  3/11〜3/16 第5回 絵画教室作品展
  3/18〜3/23 松原ヒロ子作品展
  3/25〜3/30 日替わりアート教室
美術館等 [ 愛知県 ]
名都美術館
0561-62-8884
CDA会員特典有
1/18〜3/9 <特別展> 上村松園の魅力 -本画と下絵を一堂に-
  4/1〜5/25 <名都美術館コレクション>語らいの中で
杉本美術館
0569-88-5171
CDA会員特典有
1/1〜4/15 杉本健吉没後10年 記念作品展III(1951〜2004)生涯現役
(同時開催)僕を描く僕がいる
愛知県美術館
971-5511
11/29〜2/2 アイチのチカラ! 戦後愛知のアート、70年の歩み
  2/25〜4/6 クレラー=ミュラー美術館所蔵作品を中心に 印象派を超えて −点描の画家たち ゴッホ、スーラからモンドリアンまで
名古屋市美術館
212-0001
2/15〜3/30 親子で楽しむアートの世界展
名古屋市博物館
853-2655
1/4〜2/16 特別展 文字のチカラ −古代東海の文字世界−
  3/11〜5/6 国際浮世絵学会創立50周年記念 特別展 大浮世絵展
名古屋ボストン美術館
684-0101
12/21〜3/23 ボストン美術館 浮世絵名品展 第3弾 北斎
  4/19〜8/31 開館15周年記念 ボストン美術館 ミレー展
古川美術館
763-1991
1/2〜3/2 古川美術館 富士山世界遺産登録記念展 「麗しの日本」
徳川美術館
935-6262
1/4〜2/2 企画展示 新年を祝う
  2/8〜4/6 特別展 尾張徳川家の雛まつり
岡崎市美術博物館
0564-28-5000
1/11〜3/23 暮らしのうつりかわり
  4/5〜6/1 藤井達吉の全貌−野に咲く工芸 宙(そら)を見る絵画−
豊田市美術館
0565-34-6610
1/7〜4/6 【常設特別展】愛知リアリズム−宮脇晴と岸田劉生の周辺
豊田市民芸館
0565-45-4039
12/10〜3/2 開館30周年記念特別展(仮)縄文の美
  3/11〜5/25 企画展 名誉市民 本多静雄コレクションIII
刈谷市美術館
0566-23-1636
1/11〜2/23 井上洋介図鑑 漫画、タブロー、絵本
  3/1〜4/13 常設展第3期 宇野亜喜良展 本に見る少女譚
メナード美術館
0568-75-5787
1/2〜2/23 所蔵企画展 春に恋して
  3/8〜5/11 所蔵企画展 身近な小宇宙−室内を描く
国際デザインセンター
4Fデザインギャラリー
4Fデザインミュージアム
265-2106
2/1〜2/6 デザイン・トリプレックス10 日本の空間デザイン賞展
  2/15〜3/2 切中優希子展
  2/19〜2/23 JAGDA新人賞展2013 田中義久・平野篤史・宮田裕美詠
松坂屋美術館
264−3611
1/25〜2/2 第58回 現代書道二十人展
  2/8〜3/2 星星會展 ―日本画の伝統と未来へ―
  3/8〜4/6 宝塚歌劇100周年記念 宝塚歌劇100年展 ー夢、かがやきつづけてー
  4/12〜4/20 第69回 春の院展
碧南市
藤井達吉現代美術館

0566-48-6602
12/25〜2/9 画人・富岡鉄斎展
  3/11〜3/23 碧南ビエンナーレ
高浜市やきものの里
かわら美術館

0566-52-3366
1/25〜3/9 第22回 日本陶芸展
  3/15〜3/30 古都・奈良を愉しむ
桑山美術館
 052-763-5188
1/8〜2/2 新春展 「やきものの魅力 −土モノと石モノ−」
大一美術館
 413-6777
10/22〜4/20 エミール・ガレを中心にアール・ヌーヴォー&アール・デコ ガラス名品展
美術館等 [ 岐阜県 ]
岐阜県美術館
058-271-1313
1/24〜3/9 第7回円空大賞展
美術館等 [ 三重県 ]
三重県立美術館
0592-27-2100
1/4〜2/16 大橋歩の想像力 Imagination from/into/beyond Words
  1/4〜3/2 ふるさと知事ネットワーク(三重・福井)美術館交流 特集展示:福井県立美術館蔵 岩佐又兵衛
  3/1〜5/6 ア・ターブル!―ごはんだよ! 食をめぐる美の饗宴―
美術館等 [ 新潟県 ]
新潟県立近代美術館
0258-28-4111
3/1〜4/13 生誕120周年 岩田正巳展ー新興大和絵、その清澄なる世界ー
美術館等 [ 長野県 ]
長野県信濃美術館
026-232-0052
2/1〜3/2 なにコレ?展覧会
美術館でおしゃべりしよっ!2013−絵をみて話そう みんなで話そう−
北澤美術館
0266-58-6000
10/21〜3/31
  • 開館30周年記念特別展 エミール・ガレ ベスト・オブ・ザ・ベスト 第2部(Part2)
  12/3〜3/31 折井宏光 歴史画の世界展