CDA理事長のつれづれ

あいちトリエンナーレ2013から東日本大震災意を観る  そして1、2

2010年に第1回のあいちトリエンナーレが開催された。私は数度観に行ったが、私の周囲では関心が薄く、かつ批判的であった。その原因は、地元無視、地元アーティスト不在であることからきている。第2回の今回も本質的に、その傾向は続いていると考える。
そうではあるが、第1回と違い少々にぎにぎしくしているので、フリーパスを購入して、小学3年生の孫娘と8月末に観に行った。孫は巨大なサン・チャイルドに圧倒され、大画面を楽しみ、暗闇に戸惑い、キッズスペースで遊んだ。私は、見終わって東日本大震災がテーマになっていることに気付いた。何の準備もせずに気楽に出掛けたのだが、胸にグサリときた。


愛知芸術文化センターの案内パネル

名古屋市美術館の案内パネル

帰宅してパンフレットなどを改めて見ると、しっかりとした企画、テーマで創られている事が解った。テーマが「揺れる大地・われわれはどこに立っているのか・場所、記憶、そして復活」で、まさに東日本大震災を中心にすえたアート展であることが、はっきりとした。これはもっとしっかりと観なければならないと思い、改めて出掛けた。会場は、愛知芸術文化センター、名古屋市美術館、納屋橋会場、長者町会場に新たに岡崎会場が加わり5会場で開催。長者町、岡崎を除く3会場を中心に観る。全会場では約75点の作品が展示されているが、3会場の約50作品を観るなかで、主に原発、津波をテーマにした作者、作品に付いて記す。

・ヤノベ ケンジ「サン・チャイルド」ヤノベはチェルノブイリへ行き、放射能防御服<アトムスーツ>で廃墟の保育園に入った。そこで小さな少女の人形を拾い上げている写真が作品であるが、その保育園の壁に素朴な太陽の絵が描かれていた。ヤノベはこの素朴な太陽こそが、希望の光りであると考え<サン・チャイルド>を創りだした。サン・チャイルドは地下二階に置かれ、高さ6.2mの巨大な作品である。脚を開きふんばって立ち、原発作業を終えて、防御マスクを取った顔はケガをしているが、眼は大きくキリット見開き未来を見据えている。もう片方の手には、希望の太陽が輝いている。

孫娘と行ったとき、真っ先に買ったのがこのサン・チャイルドのフィギィアであった。しかし7cmほどのこのフィギィアが、1050円もするのには驚いた。こづかいの1000円では買えないので、孫は戸惑った。しかし自宅に戻り孫が、妻にこの子の顔はケガしているとか、手の太陽が光るんだよと得意げに話をしているのを見ると、1050円は納得した。


アトムスーツ

サン・チャイルド

フィギィア

・ 宮本佳明「福島第一さかえ原発」は福島原発建屋三棟をお宮にする作品である。お宮の屋根が芸文の屋上に乗っているので、原発棟の巨大さが解る。さらに芸文の各階のフロアーやカベに黄、赤、青などでテーピングされているのは、原発建屋の各部所が現寸で表示された図線である。来場者はこのテーピングの意味を知るのには、宮本作品の意図を知らないと解らない。最初宮本作品(1/200建築模型)を見たときジョークかと思い笑えてしまった。しかし今だに原発にはいろいろな問題が次々と起り、収束の目処すら立たない状況を考えた時、お宮にして神に鎮めて貰うしかないのかと思えてきた。


福島原発神社

さかえ原発神社

・ ミカ・ターニラ「フィンランドで最も電化した町」ヘルシンキ在は、映像インスタレーションで、3面の大画面で原発開発を追った作品である。最初星形のイルミネーションが映しだされた画像は、原子炉建屋の中に入っていく、炉心が見え緊張感が伝わってくる。画像が変わり一般市民の平和な日常を映し、四季が巡る。穏やかな美しい海が現れたのちカメラは次第に陸地へ、そこには巨大な原子炉を建屋に納めるところを映し出す。建屋は昼夜を徹して、もの凄いスピードで出来上がっていく、穏やかな晴れた春、住民数人が困惑した姿で遠望している。三画面からは何も音を発していない、ただ状況を映し出しているだけであるが、ただ裏側から地鳴りのような音を発している。ものすごくシンプルな作品であるが観ていくうちに、そら恐ろしくなってくるのである。この作品は、原子力は人間にとって豊かな社会を創りだしますよとも言っているが、実は原子力という恐ろしいものに頼ってあなたの豊かさがあるんです、それでいいんですかとも迫っている。


星形のイルミネーション

平和な日常

巨大な原子炉を納める

困惑の住民たち

・ リアス・アーク美術館「東日本大震災の記録と津波の災害史」を出展していた。全く知らない美術館が気仙沼にあることを知る。展示されているのは、災害の写真に付けられたメッセージと災害に対するキーワードと文章だけである。これをインスタレーションと称している。これがアートかと私はいぶかった。しかし展示されている写真とメッセージにくいるように観ている多くの若者達がいた。9月10日の朝日新聞にトリエンナーレ出展の、リアス・アーク美術館の記事が掲載された。その中で五十嵐太郎芸術監督が「想像力によってキャプションをつくるのは一種のアート」と述べている。少々強引だなと思いながら、事実は想像力を超えるのか、また想像力は未知を事実化するのかと思い巡る。


リアス・アーク美術館の展示

朝日新聞記事

リアス・アーク美術館パンフ
 

・ 青野文昭「なおす・代用・合体・侵入・連置」は津波で破壊された漂流物を収集し、災害のすさまじさ恐ろしさを造形化した。形をわずかにとどめている中型トラックのフロントに洋服タンスが食い込んでいる、後ろの荷台には3本の整理タンスが連なっている。津波の凄さがまざまざと伝わってくるのである。しかし裏を観ると、破壊の後も無く日常普通に使っていた時の姿である。また破壊された船の作品では、真っ二つにぶちちぎられた小形船が整理タンスの上に乗り上げ、舳先が正常な食卓テーブルに突き刺さっている。テーブルにはコップが何事も無かったようにたたずんでいる。日常と激常を見事に表現した青野の作品に、私は心を打たれた。


復元されたトラックの全景

復元されたトラックの裏側

復元された小型船
 

・ ソ・ミジョン「ある時点の総体」<韓国>は地震によってビルが崩壊していく瞬間を表現した作品である。発泡スチロールで造られた真っ白なオブジェは見応えがあるが、素材がきれいすぎてインパクトに欠ける。ただ一粒の破片が宙に浮かぶ光景が一番納得できた。


崩壊の瞬間

宙に浮かぶ小片

・ アルフレット・ジャー「黒板プロジェクト」<チリ>は、本人が多くの子供達が津波の犠牲になった大川小学校を訪れ、そこに取り残されて黒板を譲り受け制作した作品。展示は三室を使い、中央に毎日使われている白墨の山。両側は暗い部屋、一方に入ると3基の黒板がほのかに浮かび上がってくる、ここは教室なのだ!しかし子供達の歓声はない。もう一室も3基の黒板が取り付けられているが、時々「生ましめんかな」と映し出されては消えていく。意味を事務局に尋ねると、生しめんかなは詩人栗原貞子さんの詩の一部で「生ませよう、生ませてみよう」の意味であることが解った。それは多くの犠牲の上にも、さらに強く生きていこうというメッセージであった。


白墨の山

黒板の生ましめんかな

・ 彦坂尚嘉+気体分子ギャラリー:福島相馬グラフティ+五十嵐太郎東北大研究室、芳賀沼整、はりゅうウッド・スタジオ「FUKUSHIMA復活」は、8階ロビー中央に復活と大きく描かれたログオブジェが大きな空間をさえぎっている。そこを通り過ぎると螺旋状に積み上げられた四角形の塔が現れた。ログは仮設住宅に使われたもの、塔は南相馬に8m10cmの高さに建てられた「復活の塔」イメージであった。軽量鉄骨の組立仮設住宅しか知らない私には、このログの仮設住宅は、人間味があり、温かく新鮮に感じた。
企画/芳賀沼整、設計/五十嵐太郎、壁画/彦坂尚嘉。


復活オブジェ

復活の塔オブジェ

福島復活の塔

集会所壁画

木造仮設住宅

まだまだ関連する作品は数多くあるが、私の印象に残った作品を記した。

「FUKUSHIMA復活」の活動の中心に五十嵐太郎氏がおり、その五十嵐氏をあいちトリエンナーレの芸術監督に起用したことが、トリエンナーレの方向性を明確にした。また五十嵐氏は建築家であることから、建築家の作品や建築的構造物の作品が多く、新しい分野を切り開いたと云えよう。全体を観終わって「メッセージの造形化(表現)が今日のアート」であることを実感した。最後に芸文の回廊から夕暮れのテレビ塔を見ると「生きる喜び」の文字が浮かび上がっていた。当り前で忘れていたな〜、被災地の人達を思うと胸に迫ってきた。


テレビ塔に浮かぶ「生きる喜び」

そして1 ─── 毎年の様に日本のどこかで大きな災害に見舞われている。9月2日さいたま市で起きた巨大竜巻の被害の大きさに驚く。竜巻はアメリカで起きるものと、よそ事のように思っていた。調べると年間日本で60以上の竜巻がおきているからビックリだ。

また台風による豪雨で思いも寄らない災害がおきる。台風18号による京都嵐山の川の氾濫。台風26号による伊豆大島の山津波では多くの犠牲者を出した。

またこの地域では、9月2日愛知県北部、岐阜県南部を襲った集中豪雨では、避難勧告がだされ、多くの交通機関を止めた。私の町内でも道路が30cmも冠水し、あと1時間も降り続いたら床下浸水がでるところだった。災害に対する心構え、備えを日頃から怠らないことが重要と改めて思い知らされた。しかしもう11月なのにまだ台風27号、28号がやってくる、被害が出ないことを願いながらこの原稿を綴るのも異常だ。


浸水寸前の医院

冠水の道路

そして2 ─── 中部デザイン協会の災害プロジェクトが遅まきながら活動を始めた。11月7日〜9日にかけて4名の先遣隊が東北に出向く。名古屋市が支援している南三陸を中心に、現地を見、状況を知り、何が求められているのかを調べる。

トリエンナーレのアーティスト達は、強いメッセージを発信した。われわれデザイナーはメッセージではなく具体的な形で役立たなければならない。会員の皆様の叡智を結集して実現したいとプロジェクトは考えている。


名古屋市の支援活動

(著 中部デザイン協会会長 舟橋辰朗 )

○ 中部デザイン協会では、会員の皆さんの作品展・展示会など、商用・個人を問わず、「会員からのお知らせ」に掲載します。ぜひご活用ください。
右記アドレス宛てにお送りください。

美術館・ギャラリー情報の内容は保障できかねますので、お出かけの際は、展示期間・内容を各施設にご確認ください。

CDA関連・会員参加
CDA会員参加展覧会 10/16〜11/3 on/off展
CDA法人会員
セントラル・
アートギャラリー
052-951-8998
10/29〜11/3 WORKS2013-NCA VISUAL COMMUNICATION
  11/5〜11/10 現展会員展
  11/12〜11/17 春艸会秋季展
  11/19〜11/24 亀崎敏郎先生作品展
  11/26〜12/1 BROWN展
  12/3〜12/15 ENDLAND様個展
  12/17〜12/22 グラフィッククリスマス(仮称)
  12/23〜 冬期休廊
美術館等 [ 愛知県 ]
名都美術館
0561-62-8884
CDA会員特典有
10/2〜11/10 <特別展> 響きあう芸術 奥田元宋 小由女
  11/23〜12/23 <所蔵企画> 名都美術館コレクション 冬 -特集展示- 堀 文子 生命の輝きを求めて
杉本美術館
0569-88-5171
CDA会員特典有
8/22〜12/28 杉本健吉没後10年 記念作品展II(1939〜1950)戦中戦後の時代 杉本健吉が描いた奈良・名古屋
(同時開催)墨絵奈良
愛知県美術館
971-5511
11/29〜2/2 アイチのチカラ! 戦後愛知のアート、70年の歩み
  2/25〜4/6 クレラー=ミュラー美術館所蔵作品を中心に 印象派を超えて −点描の画家たち ゴッホ、スーラからモンドリアンまで
名古屋市美術館
212-0001
11/9〜12/23 ハイレッド・センター: 「直接行動」の軌跡展
  2/15〜3/30 親子で楽しむアートの世界展
名古屋市博物館
853-2655
11/2〜12/15 特別展 奥三河のくらしと花祭・田楽
  1/4〜2/16 特別展 文字のチカラ −古代東海の文字世界−
  3/11〜5/6 国際浮世絵学会創立50周年記念 特別展 大浮世絵展
名古屋ボストン美術館
684-0101
10/19〜12/1 北海道立近代美術館名品選 日本画を彩った巨匠たち 〜大観、栖鳳、球子〜
  12/21〜3/23 ボストン美術館 浮世絵名品展 第3弾 北斎
古川美術館
763-1991
10/19〜12/15 平成25年度古川美術館特別展「藤森兼明 ― 祈りの美 イコン・彩飾写本とともに」
分館 爲三郎記念館秋季特別展 「唐(から)長(ちょう)の世界〜京(きょう)唐紙(からかみ)のこころ」
  1/2〜3/2 古川美術館 富士山世界遺産登録記念展 「麗しの日本」
  1/15〜2/9 分館爲三郎記念館築80年記念イベント 等
徳川美術館
935-6262
9/28〜11/4 秋季特別展 歌仙―王朝歌人への憧れ―
  11/9〜12/13 企画展示 夢幻能―うつつと異界の境―
  11/16〜11/24 特別公開 国宝 源氏物語絵巻 宿木二・関屋・絵合
  1/4〜2/2 企画展示 新年を祝う
岡崎市美術博物館
0564-28-5000
11/2〜12/23 祈・PRAY ―古今東西祈りの風景
  1/11〜3/23 暮らしのうつりかわり
豊田市美術館
0565-34-6610
9/14〜12/24 【企画展】反重力−浮遊|時空旅行|パラレルワールド
  10/12〜10/27 【常設特別展】高橋匡太 −ひかりのプロジェクト@豊田−
  1/7〜4/6 【常設特別展】愛知リアリズム−宮脇晴と岸田劉生の周辺
豊田市民芸館
0565-45-4039
9/10〜12/1 開館30周年記念特別展バーナード・リーチ
  12/10〜3/2 開館30周年記念特別展(仮)縄文の美
刈谷市美術館
0566-23-1636
9/14〜11/3 生誕100周年記念 中原淳一展
  11/9〜12/8 常設展第2期 わたしのベストセレクション!
  1/11〜2/23 井上洋介図鑑 漫画、タブロー、絵本
メナード美術館
0568-75-5787
10/12〜12/23 開館25周年記念 コレクション名作展X 近代日本洋画ー時代を代表する巨匠たちー
  1/2〜2/23 所蔵企画展 春に恋して
国際デザインセンター
4Fデザインギャラリー
4Fデザインミュージアム
265-2106
10/23〜11/17 イケヤン★エキシビションリレーvol.20 吉村茉莉展
  10/30〜11/4 第8回チョークアート展2013「Journey」旅するチョークアート
  11/14〜11/16 名古屋学芸大学デザイン学科 10th contact exhibition
  11/27〜12/2 展示会「トリノの魅力〜トリノと名古屋の姉妹都市交流」
松坂屋美術館
264−3611
10/19〜11/24 観阿弥生誕六八〇年 世阿弥生誕六五〇年記念 観世宗家展
  11/30〜12/8 再興第98回 院展
  12/14〜1/19 SNOOPY JAPANESQUE スヌーピー×日本の匠展
  1/25〜2/2 第58回 現代書道二十人展
碧南市
藤井達吉現代美術館

0566-48-6602
11/1〜12/15 彫刻家・高村光太郎展
  12/25〜2/9 画人・富岡鉄斎展
  3/11〜3/23 碧南ビエンナーレ
高浜市やきものの里
かわら美術館

0566-52-3366
9/28〜11/4 2013イタリア・ボローニャ国際絵本原画展
  11/16〜12/23 Dolls Collection 時をかける等身大人形 −細工人形・菊人形からマネキン・フィギュア・ロボットまで−
  1/2〜1/19 館蔵品展(仮)
  1/25〜3/9 第22回 日本陶芸展
桑山美術館
 052-763-5188
9/7〜12/8 所蔵茶道具展 広間の茶 −棚と水指−
大一美術館
 413-6777
10/22〜4/20 エミール・ガレを中心にアール・ヌーヴォー&アール・デコ ガラス名品展
美術館等 [ 岐阜県 ]
岐阜県美術館
058-271-1313
11/8〜12/8 素顔の玉堂 〜川合玉堂と彼を支えた人びと〜
  1/24〜3/9 第7回円空大賞展
美術館等 [ 三重県 ]
三重県立美術館
0592-27-2100
10/1〜11/24 ふるさと知事ネットワーク(三重・奈良)美術館交流 特集展示:奈良県立美術館所蔵 富本憲吉
  10/12〜12/8 歿後20年 中谷泰
  1/4〜2/16 歿大橋歩の想像力 Imagination from/into/beyond Words
美術館等 [ 新潟県 ]
新潟県立近代美術館
0258-28-4111
11/8〜1/21 館長 庵野秀明 特撮博物館 ミニチュアで見る昭和平成の技
  3/1〜4/13 岩田正巳展
美術館等 [ 長野県 ]
長野県信濃美術館
026-232-0052
9/14〜11/4 驚く!たのしむ!魔法の美術館 −ようこそ、光のワンダーランドへ−
  11/9〜12/10 生誕200年記念 山浦清麿展
  12/16〜1/7 没後100年 児玉果亭
「The 書」
北澤美術館
0266-58-6000
10/21〜3/31
  • 開館30周年記念特別展 エミール・ガレ ベスト・オブ・ザ・ベスト 第2部(Part2)
  7/20〜12/1 佐藤透 コア・ガラスの世界展