中部デザイン協会 デザインの仕事場におじゃまします

第18回 愛知県立起工業高等学校デザイン科教諭 
佐藤勝彦氏

今回おじゃまさせてもらいましたのは中部デザイン協会理事であり、愛知県立起工業高等学校デザイン科教諭を勤めておられます佐藤勝彦さんです。いつも素敵な雰囲気をお持ちの佐藤さんからどんなお話が伺えるかと、私達は楽しみと期待を胸に電車に乗り込みました。

インタビューア:こちらの愛知県立起工業高校はどんな学校なんですか?

佐藤さん:創立86年の歴史ある学校で、デザイン科では平成11年度より多分全国の高校において初めて漫画制作の実習の授業を取り入れました。

インタビューア:全国で初めて実施したとは、素晴らしい事ですね。しかし、なぜ高校という段階から、漫画コースに着目し、取り入れたのでしょうか。何か理由があると思うのですが。

佐藤さん:現在日本の文化が世界の関心を集めています。世界に通用する日本の現代の文化として漫画、アニメーション、ゲームがありアニメーション、ゲームにいたっては世界の80%のシェアを占めます。漫画についてもまんだらけ(漫画専門店)がニューヨークに開店し、週間少年ジャンプ米国版がアメリカで発行され、同時にドラゴンボールなどのキャラクターグッズが販売される等、世界に向けて発信されつつあります。
又、アメリカの学者がたてた今後の日本のシナリオでオタク文化(アニメ、ゲーム、漫画、歌、ダンス、お笑いなどの芸能、ファッション)が日本を救うという意見もあります。
産業としてもポケットモンスターに見られるように、輸出産業として外貨を稼いでいる。ゲームにおいてはドラゴンクエストシリーズ計3,000万本、ファイナルファンタジーシリーズで計4,200万本世界で販売。ファイナルファンタジーシリーズだけでも平均1本1万円として4,200億円の売上があります。
このように日本は今後20年間はオタク文化において世界のトップを維持できると言われ産業として大きな収入源の柱の一つとなりつつあり新しいマーケットに向け夢の持てない時代、高校生に少しでも明るい夢を持たせてやりたい、という背景があります。そして本校においては漫画研究部の歴史も長く、デザイン科の卒業生では鳥山明氏をはじめ、何人かがプロになっています。

インタビューア:日本の漫画が人気あるとは知っていましたが、そこまであるとは予想以上でした。鳥山明氏とはあのドラゴンボールの著者ですね! こういった理由を聞くと漫画コースを取り入れたことに納得がいきます。
ところで、話は変わるのですが、佐藤さんはなぜ教員になられたのですか?

佐藤さん:私の人生は全て成り行きです。何になりたいというのはなくて大学も前の受験しない不要になった願書をもらい、その大学を受けたらたまたま受かった。その愛知教育大学で教員の免許を取得して学校の教員になり現在の学校に30年勤めているわけです。

インタビューア:前の席の人のいらなくなった願書に書いてあったからその大学に決めたなんて凄い!本当に成り行きなんですね!

佐藤さん:はい。物事は全て、天が決めると思っています。それと私は努力することが嫌いです。受験勉強も好きではなかったし母親からも今まで一度も勉強しなさいと言われたことがありません。父親も自分の子供がどの学校に行っているかも知らない人でユニークな家庭でしたね。

インタビューア:なりたいものがなかったといわれましたがデザイナーになろうとも思ったことはないのですか?

佐藤さん:ないですね。デザイナーにも絵描きにもなろうと思ったことがありません。でも好奇心旺盛で興味を持つと、とことんはまります。コレクションするのが好きで前は時計を1,000個集めたり、横尾忠則のポスター100枚集めたり、、。だけどある程度わかってしまうと飽きてしまうんです。そうするとぴたピタッとやめてしまう。その後すぐまた何かに興味をもつんですけどね。

インタビューア:なにか人とは違う考え方、生き方をされておられますし、コレクションのスケールも大きいですね。そういう生き方ってゆうのは、すごく羨ましいのですがなかなかできないものです。 そして、そんな佐藤さんのお住まいも素晴らしいとお伺いしました。ではその家を建てることへの考え方や建てるまでの経意など、お話いただけないでしょうか。

佐藤さん:家を所有するという行為は、環境問題等を考えると、個のレベルを超えたところで、現在ではかなり後ろめたい行為であり、また一方、個のレベルで家計の問題等についても相当の覚悟と努力が施主にとっても必要です。
具体的には、まず自分の感性及び生きざまにあった建築家の選択があります。そして夢を形にするためのプランニングから完成に至る一年半に及ぶ週一回の打ち合わせ、建築家とのやりとり。こうした共同作業を通して、私は建築家吉柳満氏と彼の空間にずいぶん触発され育てられました。
住宅が単なる、寝て、食べて、くつろいでという機能を超えてライフスタイルをあるいは生きざまを具体化するためのメディアであると認識させられました。その一つとして吉柳氏に第3空間と名づけられたイベントホールがあります。この空間は調整区域の法的規制により広い空間が必要だということで生まれました。マイナス条件をプラス条件とし、結果的にイベントを通して外界を住宅内部に取り入れたことにもなり、ライフスタイルの創造に繋がりました。

インタビューア:なるほど。やはりいい家を建てるという事はこれだけの意思とプランニングが必要なんですね。今度ぜひ一度そちらの方にもにおじゃまさせてくださいね。
それでは最後に、今後の活動について佐藤さんの考えをお聞かせ下さい。

佐藤さん:そうですね、なにか世に為になる活動をしていきたい。この中部デザイン協会も内部活動だけではなく、市民と一緒により豊かに、楽しく、生き生きとする為に何かおもしろい活動ができればいいんではないかと思います。これだけの人が集まった団体ですからできると思いますよ。

インタビューア:それは素晴らしいお考えをお持ちですね。そういった活動を進めていけば中部デザイン協会もどんどん広がるし、一般市民にも浸透していくでしょうね。今日は、素敵なお話ありがとうございました。


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