中部デザイン協会 デザインの仕事場におじゃまします

第17回 愛知県瀬戸窯業技術センター 榊原晴勝氏

今回は愛知県瀬戸窯業技術センターの主任研究員榊原晴勝さんを訪問しました。瀬戸窯業技術センターは瀬戸市の万博会場に近い緑に囲まれた高台にあります。

訪問した時はNHKの取材を受けられていました。
取材内容は地元窯業産業のために開発した愛知万博のおみやげ品で、近々NHKテレビに出演する陶器のかわいい肩たたきや盆栽の給水装置等々陶器で作られたアイデア試作品がたくさん並んでいました。
それら試作品は環境博だけあってリサイクル率(約25%)の増減による強度、重量、作り易さ、有害物質の有無、燃焼温度まで省エネになるか検討してデザインされていました。
現在は万博施設で使われる食器の研究に取り組まれています。

広い敷地の中を案内していただくと電子、化学設備から岩石粉砕機、巨大碍子など様々な設備を持った研究室があり、さすがに陶磁器王国愛知県の窯業技術センターと感心しました。ただ研究者は18人と70~80年代の最盛期の半分になってしまっているとのことでした。

榊原さんは中学の頃から絵が好きで絵の塾に通っていました。 高校時代は先生になりたくて愛知教育大に進んだものの、再び美術への挑戦が大きく膨らみ、同大学の美術科グラフィック専攻に進まれて1973年卒業後、県庁に入庁されました。
公務員デザイン職として最初の配属が現在の瀬戸窯業技術センターでした。 その後、愛知県工業指導所、常滑窯業技術センター、産業貿易館の県デザインセンター等、異動の中で陶磁器産業はじめ幅広いデザイン振興に貢献されてきました。 なかでも、工業指導所の時から中部デザイン協会の事務局や理事として長く活躍されたことは我々も大いに感謝するところです。  デザイン活動の合間の趣味は渓流の岩魚つり、野菜作り、そして伝統芸術が好きで能の面打ちを始めてから7~8年になり、京都金剛流と本格的な打ち込みようです。
能面は装飾用の飾面でなく舞台で使われる使用面として、舞台映えする形や、舞う人の謡の響きを良くする形に仕上げるのが難しいのだそうです。

最後に30数年間県のデザイン振興にたずさわってきた経験から若いデザイナーに一言アドバイスをお願いしました。
「現場第一」・・机上でコンピュータ相手にデザインするだけでなく、たとえば食器などの焼物なら、どこで誰に使われているのか、使っている現場を自分の目で調べることと、実際に土を練って泥んこになって何度も何度も焼くことで、やっと食器のデザインの基礎が出来る。若いデザイナーにはこの現場第一主義を大切にして欲しい。

来客と、電話が鳴るお忙しい中、試作品がごろごろ置かれた研究室で2時間以上もおじゃましました。


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