中部デザイン協会 デザインの仕事場におじゃまします

第14回(企業編) アイシン精機株式会社 デザイン部
部長 越田雅雪氏 主査 平岩功氏 (2001年9月掲載)

 
左:越田部長、右:平岩主査

アイシン精機(株)はデンソーやトヨタ車体等の国際的な企業が立ち並ぶ愛知県刈谷市にあります。社屋に入ると、大企業の一端を垣間見る光景に出会いました。
ロビー中央に堂々と置かれているソーラーカー(世界大会第3位)、最先端を追求する企業姿勢が伺われ、単に自動車部品メーカーに留まらず、住生活関連/医療・福祉機器/環境・エネルギー関連機器等、多彩な事業展開を行っていることを知らされました。このようなアイシン精機のデザイン部を統括されている越田部長と第二デザイングループ平岩主査にお話を伺いました。

多彩な商品構成とデザイン対応

従業員11,400名を擁する大企業である。自動車部品関連(スポイラー・ドアハンドル・トランスミッション・ブレーキシステム等)の売上が9割以上、住生活関連(ミシン・ベット・エアコン等)は1割に満たないが、 デザイン作業の割合は、住生活関連が6割、自動車部品関連が4割と逆転する。デザイナーは30名ほどで、この多彩な商品群をデザインしているそうです。

小人数でのデザインワークについて、その対応をお聞きしました。
当社は「品質第一主義」を理念として、全社を上げて品質向上に努めてきました。これを基盤として、部品デザインは設計性能に影響を与えぬよう、部品設計時点での適用を前提としたデザインマニュアルを作成しデザイン品質の確保と効率化を図っています。その中でイレギュラーな部品についてデザインが対応します。

また、世界を市場としている自動車部品メーカーとして、常に世界に通用するデザインを目指しています。例えば、ドアハンドルであれば世界で最も使い易い機能と優れた造形を自動車メーカーに提案し、他社部品メーカーとの競合に対応しています。

 

デザインマネージメント

デザイン部門は具体的な成果を数値として求められ、成果を出せる方法と活動が重要となります。したがって、デザイン品質を上げるための具体的な仕組みとして、「トレンド」という情報誌の発行を裏付けに、「デザインエクスポ」という提案の場を設け、経営トップへ働きかけます。また、デザイン品質のレベルアップを社内外のデザイナーによる競争を通して確保し、売り方までも含めたトータルデザインを展開しています。

生産性(効率化)と表現力という観点から3DCADをデザイン部が先行して導入、デジタルデザインの効率性を追求しています。ただし、デジタルの偶然性による意匠に対しては、自ら思い描いた意匠との比較に配慮するよう指導しているそうです。

デザインの一つの成果として、「Gマーク」をいままでに65件取得、今年は一挙に10数点取得とのこと、すばらしい成果に驚きましたが、越田部長からは、「商品は売れて真に、デザインの成果になる。」という企業内デザインの厳しい現実的な評価も一方にはあるという事です。

企業経営からみたデザインの評価について

数値に置き換えられる設計性能と違い、企業経営からみたデザイン部門の評価・貢献度を判断することはむずかしいとのこと、デザインの発言力にデザイン学的な背景を取り込み、より客観的な評価はできないか、という問題をあげています。

中部デザイン協会は、新しい時代にあったあり方を模索しています。提言があればお聞かせ下さい。
デザインの有用性や評価に対するデザイン学的(アカデミック)な、アプローチ環境が整えば、企業の中でのデザインの位置付けが明確なものになります。そのような取り組みもお願いします。

最後に「アイシンデザイン部からデザイナーを目指す学生諸君へ」一言。
デザイナーの究極の定義はただ一つ
「顧客を創り出すこと」である。

 

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