中部デザイン協会 デザインの仕事場におじゃまします

第12回 愛知教育大学助教授 樋口一成氏

今回は、刈谷市の愛知教育大学におじゃまして樋口一成助教授にインタビューしました。

樋口さんは3月にCCDOから「木工玩具の研究」と「子供達が手作りのすばらしさを体験するワークショップの指導教育活動」が認められ、「第1回CCDOデザインアオ―ド2001」に選ばれて表彰されました。

広大な緑の中にある大学の研究室には樋口さんの木工玩具の作品が沢山収納されていて、次々と見せていただく玩具の動きに、訪問した広報委員一同ビックリ、感嘆そしてうれしくなって目を輝かせていました。

木工玩具を研究しようとしたきっかけ、動機は?

<樋口さん>:大阪教育大学で学部生、大学院生、学部研究生、そして大学院研究生と合計9年間、美術教育について学び研究してきました。そこで恩師の作る木の玩具と出会って、これはすばらしいと興味を持ったのがきっかけです。おもちゃの制作は何より面白く、楽しいです。

大阪での研究活動は

<樋口さん>:公募展に作品を出したり、個展を開いたり、おもちゃ会議という団体に参加するなど玩具創作に没頭していました。それからスイスのネフ社を創設されたネフさんと東京で会うことが出来、それがきっかけとなって夢だったネフ社とのデザイン契約を結ぶことができました。現在、世界中の子どもたちに遊んでもらっています。

ところで玩具とは何ですか、そして樋口さんの木工玩具のテーマは何ですか。

<樋口さん>:玩具とは子どもが没頭できるもの、飽きないもの、そして経験を積むことができるものと思っています。私の制作面でのテーマは、重力など自然の力による動きの発見、創作です。何度も何度も転がしたり、落としたりしながら動きを見つめ、ものづくりの原点であるひらめきを大切にしています。

1993年から愛知教育大学で学生を教え、研究を続けられるのですが、CCDOデザインアオ-ドでも評価されたワークショップ活動についてお話を聞かせてください。

<樋口さん>:1998年から岐阜の美山、愛知の稲武、足助、高浜などで小学生を対象に、自然の中で自然素材から何か形を創るものづくり活動をしています。その新しい体験から多くの経験を積み、感性鋭く、創造性豊かな子どもたちに育てることを目的にワークショップを続けています。たとえば同じ長さを測るのに定規がなくとも手の幅や紐1本でも測れる知恵の蓄えは知識の蓄えよりも子どもたちの感性を育てます。知恵の詰まった引出しをいっぱい持っている子どもたちに育てる方法を研究しています。現在の工芸教育は教材費や時間など多くの制限を含んでいると同時に、何をどのように教えたらより効果が上がるのかという点について未だに研究の途中であるように感じています。

ある小学校で竹を使ったワークショップを行ったことがあります。子どもたちは竹を刃物で割る時のトントンと加減するコツを体験したり、竹の曲げやたわみの特性を生かすと籠のような立体が出来ること学びました。学校では多くの制限のために教えきれない内容、昔から伝えられてきた知恵やコツなどを吸収することができました。

これからも地域に伝承されている工芸を教育の素材として見直していきたいと思っています。たとえば和紙とか染色、陶器の野焼きなど・・。
なにより自然の素材には子どもたちが熱中するところがあるように思います。

ワークショップは子供達の共同作業ですか

<樋口さん>:一人で作るより皆で共同して作ることを大切にしています。漆工芸のように工芸というものづくりの領域のいくつかは元々分業で作ることを含んだ世界です。将来子どもたちには仲間と協力していくことができる、また共同作業ではより大きな可能性を持っているということを自然に体得していってほしいと思っています。

ありがとうございました。最後に樋口さん個人の夢はなんでしょうか。

<樋口さん>:子どもたちがいつでも自由にものづくりを経験出来るような、子どもたちのものづくりにこだわった美術博物館(チルドレン・ミュージアム)を作ってみたいです。


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