中部デザイン協会 デザインの仕事場におじゃまします

第7回 三菱重工業株式会社 和田真爾氏

今回は企業内デザイナーとして活躍されている和田真爾(しんじ)さんを訪ねてお話を伺いました。
和田さんは日本を代表する企業の一つである三菱重工業株式会社のデザインセンターで前(2代目)センター長を勤められ、現在は同デザインセンターにおいて研究開発に取り組んでいらっしゃいます。

あいちゃん:始に和田さんがデザイナーの道に入られたキッカケからお話いただけますか。

和田さん:中学時代に工芸クラブで木工に出会い物作りの楽しさを体験しました。私の通っていた中学は職業訓練校のような木工設備がそろっていましたので結構難しいものまで制作できました。私は広島出身ですが、当時年に一度中国電力が今でいうコンペを開催していました。木工で電気スタンドをつくって応募し1等賞を受賞しました。また、高校時代に広島の平和公園で丹下健三が設計した建物に感動したことを覚えています。そんな感情を持っていたことがこの道に進ませたのでしょう。そして、大学は武蔵野芸術大学で工業デザインを専攻しました。

あいちゃん:そして三菱重工業に入社されました。三菱重工といえば船舶や航空機という大きな物を作っているイメージが強いのですが、そういった物に興味があったのですか。

和田さん:大学時代からただ物をデザインするだけではなく、デザインされた物がどのように社会に関わっているのかという社会性のあるテーマをプロデュースする事に興味を持っていました。三菱重工は当時国から依頼されたり、社会、経済の基盤設備の仕事が中心でした。それが私の思いと一致したということです。そして一般の民製品にも移行していく時期でもありました。(参考:当時乗用車部門を現三菱自動車に分離した直後)

あいちゃん:和田さんはデザインセンター長をされたそうですが、三菱重工業のデザインセンターはどのようなお仕事をされているのですか。

和田さん:デザインセンターは昭和55年に意匠研究室としてスタートしました。そして昭和62年に今のデザインセンターという名称になりました。現在14名の社内デザイナーがいます。
我が社は乗用車とエアコンを除く電気製品以外はほとんどの製品の生産に関わっています。全国各地に事業所があり、それぞれのテーマによる製品開発、生産を行っており、デザインセンターは各事業所のデザイントランスファーの役割を果たしています。もちろん個々のデザインも手掛けています。大きなプラントの設計から地域におけるロケーションを考えたランドスケープデザイン、そして身近なエアコンまでを各メンバーが担当しています。

あいちゃん:和田さんは現在デザインセンターで研究開発をなさっていますが、どんなことをされているのですか。

和田さん:三菱重工は人間工学的な操作性を重視しています。それにデザインというソフトをどう関わらせていくのかという新しいシステム開発、そして開発テーマのプロセスに従うのみではなく、開発計画におけるいろいろなテーマを同時に検討できるシステムとしてビジュアルなCGツール開発が現在のわたしの仕事の一つです。また、今日のような混沌とした時代にどのように開発の課題を見つけていくのかという苦労もあります。私は今までにグラフィック・インテリア・ID等あらゆるジャンルを体験してきました。これらの経験と知識をもとにプレゼンテーションとしての映像シュミレーション技術を確立することも私の課題のひとつです。

あいちゃん:私たちを含めた後進のデザイナーの皆さんに何かメッセージがありましたら伺いたいのですが。

和田さん:これからのデザイナーにお願いしたいことはデザインの領域をさらに発見してほしいということです。生活と産業・経済・教育・その他の色々な分野で様々な問題が発生しています。自分たちの生活そのものの問題解決にデザイナーが関われる多くの領域があります。それにどう関わるのかを発見しデザインしていくことです。人が何かに関わったときに目前に現れた現象から、課題を発見するという感じ方、そしてその現場からのフィードバックにより、新しい製品やシステムを考えられる感受性を育んでほしいと思います。

あいちゃん:今日はありがとうございました。


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